実はわたし、結婚してます



実はわたしたち、結婚してます




厳かな雰囲気の中、わたしと玲斗は永遠の愛の誓いを交わし、指輪の交換、そして誓いのキスを―――。

「あーーー!だーー!」

きゃあああああ!な、な、ななに!?
と飛び起きると、目の前にはころころとした笑みを浮かべた悠斗の姿がありました。
あ、あれ!?夢!?
きょろきょろと周りを見回します。
広いキングベッドの上で、悠斗は喜んで遊んでいますが、隣に眠っていたはずの玲斗がいません。そもそも・・・
昨夜は、結婚式の披露宴があって、3次会くらいまで顔を出していたので悠斗は預かってもらってこの部屋には玲斗とふたりきりだったはずなのです。

「あー、千穂起きたか。さすが悠斗の愛の力はすごいな」
「玲斗」

隣室からひょっこり顔をだし、玲斗はいたずらっぽい笑みを浮かべてわたしの肌を見つめています。
ハッとして自分の体を見ます。
そう、昨夜は玲斗にドレスを脱がされ、気づいたら眠ってしまっていたはずなので、裸のまま!?と思ってしまったからですが、一応薄い浴衣のようなものは纏っていてホッと息をつきます。玲斗が着させてくれたのでしょうか。
ていうか、昨夜あれだけ・・・は、は、激しかったのに玲斗ってばなんであんなにすっきりした顔で、さっさと起きているんでしょうか!?
きっとわたしより先に起きて悠斗を迎えにいって、連れてきたのでしょうが、それにしても、玲斗ってどういう体力してるんでしょう。

「まーまー、まんま。まんまー」

悠斗が手を伸ばすので抱き上げると、玲斗が笑いながら、ちょうど朝食が運ばれてきたんだ、と教えてくれます。

「起き上がれるか?」
「う、うん」

悠斗を玲斗にあずけ、ゆっくりベッドから出ると、少しだけふらっとしてしまいます。なんだか足がガクガクしてしまうのは、久しぶりの営みだったからでしょうか。悠斗はなんだか元気いっぱいで玲斗の手から離れるとたたたっと走って隣室に行ってしまいました。
それを追いかけようとすると、玲斗がわたしを支えながら、耳元で囁きます。昨夜と同じ甘い声で。

「昨夜は色っぽかったな」
「れ、玲斗っ」

笑う玲斗を軽く睨みつけると、玲斗はますます笑います。
まったく、と思いつつも、昨夜のことを思い出すと恥ずかしくてたまりません。色っぽかったのは玲斗も同じです。
だって、白いタキシードを着た玲斗は本当にかっこよかったんですから。そんな玲斗にあんなことやそんなことをいろいろされて翻弄されてしまって……完全に玲斗の虜です。

「千穂、さっさと歩け。俺は腹が減った」
「う、うん」

目の前に広がる豪華な朝食に悠斗の目が輝きます。フルーツ大好きな悠斗ですから早速いちごに手を伸ばしています。そんな姿に微笑みながらわたしも席につきました。
玲斗がロールパンを小さくちぎって悠斗の口に入れています。

「千穂の口にも入れてやろうか?」
「え、じ、自分で食べれるってば!」
「ふーん、ま、しっかり食っとけよ。食べたら、3人でうちに帰ろう」

3人でうちに帰ろう。その言葉がなにより嬉しくて、わたしは手を合わせました。いろんなことに感謝をこめながら、「いただきます」とつぶやいて、玲斗と悠斗とともに朝食の時間を楽しみました。


二人目妊娠の兆候があったのはそれからまもなくのこと――。




END

   →おまけ







   



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