クリスマスの贈り物







クリスマス・イブ当日。
社長にお泊まりセット用意しといてね、なんて言われるものだから、あまり目立たないように小さなカバンにぎゅうぎゅうに詰めてきてしまった。
後で、駅のロッカーとかあったんだったーと後悔したけれど、もう出勤してしまったから仕方がない。
それにしても、黙々と仕事をこなす社長。
今日はいつものように仕事の区切りのいいところであたしにちょっかいを出すことすらない。

まあね。
この年末の忙しい時に、副社長は有給休暇。
今頃は紀美ちゃんと一緒に・・・婚姻届でも出しに行ってるのかなぁ。

そんなわけで、社長は仕事をせざるをえないのは当たり前で。
しかも?
絶対今日は定時に帰ろうとしているはず。
社長なのに。
あ、社長だから、か。

それにしても、お泊まりセット、ということはホテル?
それとも社長宅マンション?どっちだろう・・・。
明日も仕事だからイマイチよくわからないなぁ。

プレゼント、あんなので良かったかな・・・。

と考えていたら、社長がいきなり立ち上がった。

「しゃ、社長?今日は出かけられないんじゃ・・・。」
「柚葉ちゃん。」
「はい。」
「今日は僕は早退するから。あとよろしくね。」
「は!?」
「あ、柚葉ちゃんは定時に仕事を終えてから、ゆっくり僕のマンションまできてね。」
「え、あ・・・はぁ!?」
「じゃ、そういうことで。またあとでね。」

社長はそう言い残すとさっさと社長室を後にした。

な、ななななな・・・なんなの今のは!
どういうこと?
社長が早退って・・・アリなの?しかもあたし放置?
信じらんない!

しばらく呆然としてしまったけれど・・・
確かにあたしの仕事はまだ残っている。
さっさとやってしまわなければいけない。
それにしても・・・。
急に社長が必要になったらどうするつもりなの!
あの人ホントに社長の自覚があるのー!?

って・・・きっとあの社長のことだから、今日は予定を入れないようにしていたんだろうけど。
でもでも・・・
なんか酷くない!?



















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