実はわたし、結婚してます



【もしも玲斗と千穂が教師と生徒だったら2】



「千穂のクラスって文化祭なにやるの」
「たぶん、屋台系だと思うけど・・・」
「ちっ、つまんねーな。メイド喫茶でもやってメイドでもやれば面白いのに」
「め、メイド!?」
「文化祭の定番だろ」

いつものように放課後居残り勉強中のわたしは、怖い怖い先生となぜか文化祭談義中です。
クラスではいろいろもめているけれど、屋台が有力候補となっているのです。他にもいろいろ出てましたけど、他のクラスとの掛け合いもありますから、きっと明日の会議で文化祭実行委員の人たちが激しい闘いを繰り広げて帰ってくると思います。
それにしてもメイド喫茶って、テレビの中だけとかじゃないんですか〜。
実際の高校でそんなのやってるクラスなんてあるのでしょうか。
って思ってたら、確かに去年ありましたよ!怪しげなメイド喫茶!じゃなくて執事喫茶が!男子生徒が執事のようになってサービスするんですよ。
わたしは行ってないですけど、行った友人はきゃーきゃー騒いでましたね。
うちのクラスは無難なものでいいです。
わたしは地味〜に生きていきたいのですから。

「千穂にとっては高校生活最後の文化祭だからな。楽しくなるといいよな」
「そうデスネ〜」

文化祭は先生と一緒に過ごせないのでちょっぴり淋しい気もしますけど。
先生の言うとおり、高校生活最後ですからね!思い出をいっぱい作りたいと思います!





「ねえ、なんでわたしこんな格好なの?」
「コスプレドーナツ屋だからでしょ」
「そんな話聞いてないよ〜」
「急に決まったのよ。あんたこの間休んでたじゃない。ただドーナツ売るだけじゃつまんないから、予算をありったけ使ってコスプレしようって」
「え〜〜〜!!」

この会話から察していただけますでしょうか。
そうです。そうなのです。
なにがなんだかわからないうちに、わたしたちのクラス、コスプレドーナツ屋に決定したらしいです。
そして、わたしは、というとフリフリのついたメイド服みたいなの着せられてます。
控え室に連れ込まれたかと思えば、あれよあれよと言う間にこんな姿にさせられたのであります。
しかもパンツ見えそうなくらいスカートが短いんですけど!

「やっぱり千穂、似合う〜。ほらそこの男子なんかもう釘付けじゃないの〜」
「恥ずかしすぎるよ〜。わたし着ぐるみとかでいいのに」
「あんたが着ぐるみ着てどうすんのよ。あーゆうのは男子だけでいいのよ。これでわがクラス、収益あがりそうだわ」
「・・・」

友人、愛子の言葉にわたしは絶句です。呆れるしかありません。

そしてわたしの意見はことごとく却下され、あっという間に文化祭当日。
楽しくなるといいな、なんて機嫌のよかった先生は、わたしとすれ違うとなぜかものすごく不機嫌な顔で睨みつけてきましたよ。
なぜ!?
あんなにメイドメイドって言ってたから、メイド服着てるわたしを見て普通は面白がってもいいと思うんですけど!
そりゃちっとも似合いませんけど!

「さ、千穂、このドーナツもって、試食販売よ!大宣伝よ!」
「え〜〜〜!!」

わたしは愛子に引きずられるようにして、みんなの大注目を浴びながら、ドーナツの試食販売をしてコスプレドーナツ屋さんに貢献することになったのであります。




「せ、せんせ??」

わたしの目の前には先生がいます。
そしてここは、先生のマンションのお部屋。
え?なぜこんなところにいるかって?
文化祭終了直後の後夜祭をほったらかして、先生に拉致されてきたのです。
そう、ものすっごく不機嫌な先生に、有無を言わせない状況で。

「千穂」
「は、ハイ!」
「そんなに男にヤられたいのか」
「はい?」
「そんな男を誘惑するような格好して」
「せ、先生だってメイドがどうのこうのって言ってたのに・・・」
「ああ、そうだった。じゃあ、千穂が奉仕しろ」
「ほ、奉仕!?」
「メイドだろ」
「メイドじゃないもん!」
「メイドの格好してるんだからいいだろ」

な、なんじゃそりゃー!めちゃくちゃですよ!
言ってることがめっちゃくちゃ!
わたしはメイドさんの格好はしてますが、メイドじゃありませんから!
しかしですね。俺様な先生の言うコトは絶対なのです。
わたしは逆らうことなどできないのです。

「な、なにすればいいの?」

諦めてそう言ったわたしに、先生はニヤリ、と微笑みました。
こうして、わたしは、先生の命令に従う、いたいけなメイドさんになったのです。


おわり









   



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