実はわたし、結婚してます



【もしも玲斗と千穂が教師と生徒だったら】




「50点以下は来週追試。」

いやぁぁぁぁぁ!!
ありえませんっ。
わたしは心の中でとてつもない叫び声をあげてしまいます。
だってだって・・・
50点以下は追試?そんなのわかってますよ。わかってますけど・・・なんですか、このテストの答案用紙の下のほうに書かれてる一言は。

『放課後数学教室にこい。』

命令ですよ、命令!
でたでたでたでたー!って感じです。
ああ、なんでこんな目に・・・。
わたしは憂鬱な気持ちでその日一日を過ごすことになるのです。

そして放課後、びくびくしながら数学教室へ行くと・・・
そこにいるのは・・・

「せ、先生・・・失礼します。」

しかも今日に限って他の先生方は席をはずしてます。なんの陰謀ですか。完全にわたし、神様に見放された気がします。

「千穂、鍵しめて、そこに座れ。」

う、うわー。鍵閉めろとか言ってます。
これはもう誰も助けにはきてくれないってことです。
ヘルプミー。エスオーエス。無駄です。無駄な叫びです。
わたしは半泣き状態で鍵を閉め、言われたとおり、先生の隣の椅子に座ります。

「お前、俺に喧嘩売ってるだろ。」
「うってませんうってませんうってません。」
わたしは必死で否定します。
そんな喧嘩売るなんてそんな怖いことわざわざするはずないじゃないですか。

「だったらなんであんな点数なんだよ。」

そうです・・・。
わたしはとてつもなく数学が苦手で・・・おそらくクラスで最下位なのはわかっています。
だって・・・平均が60点の中、15点だったんですもの〜。

「俺が何度も何度も説明してやってるのに・・・。」
「ご、ごめんなさい。。。」

だってそのときは理解できても応用となるとサッパリなんです。

「千穂・・・追試で50点とれなかったら・・・。」
「とれなかったら・・?」

ごくり。

「犯す。」

きゃーーーー!

「ていうのは冗談で、そんなのいつでもやりたいときにやれるからな。」

そうですよ。いつだってわたしの都合とはおかまいなしに襲ってくるじゃないですかー。
はあああ。
なんでわたしはこの人とオツキアイしているのでしょうか。
時々わからなくなります。

いつの間にか何がどうなってか、今、わたしは目の前にいる数学教師、小石川玲斗先生と付き合うことになってしまったのです。
そう、いわゆる秘密の関係、禁断の愛ですよ。
あっという間にヴァージンまで奪われ、いまややりたい放題、やられ放題・・・。

井原千穂、高校三年生・・・もう哀れとしか言いようがないと思うんですけどー。

けれど・・・どうしても嫌いになれないんですよね。
時々見せる優しさが、とてつもなく嬉しくて・・・怒ると怖い俺様教師なのに・・・そこにまた惹かれてしまうわたしは、先生のことが凄く凄く好きなんです。

「千穂、お前受験生なんだぞ。しかも文系数学でこの点数だと・・・救いようがない。」
「はい・・・。」

それはごもっともです。

「じゃあ、明日から毎日放課後ここで補習。」
「え!?わ、わたしだけ?」
「当たり前だろ。3年で30点以下は千穂だけだ。」
「え、えええええ。」

そ、そんなぁ・・・。










   



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