実はわたし、結婚してます〜Trick or Treat!〜
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ハロウィン当日。
わたしたちは仮装こそしませんでしたが、ちょっとオシャレをして、ホテルのディナーに出かけました。
ハロウィン特別ディナーコースを堪能して、わたしは幸せいっぱいの気分でした。
こうやってふたりでディナーもなかなかできなくなってしまうのは淋しいけれど、いつか子どもを連れて楽しくディナーをする日がくるかもしれませんね。
自宅に戻ると、いきなり玲斗が口にします。
「千穂、Trick or Treat・・・」
「え?」
そう、それはハロウィンの重要なイベントです。
子どもたちがお菓子をもらうためにいろんな家庭を回って言うせりふ。
それをなぜ玲斗が言うのでしょう。
わたしは意味もわからずポカンとしていました。
「玲斗、お菓子ほしいの?・・・今日は買ってないよ・・・。」
「じゃあ、イタズラするか。」
「い、イタズラ!?」
そんな子どもじゃあるまいし、何を考えているんでしょう。
「千穂。」
「はい。」
「今夜はたっぷり時間をかけて”イタズラ”してやるよ。」
玲斗のそのセリフに、わたしはハッとします。
う、うわーーーー!!!
そういう意味だったんですね!
な、な、なんてことでしょう!!
そう、玲斗の意図に気づいたときにはもうすでに時遅し。
わたしはもう玲斗から逃れることはできないのですから。
「玲斗、あの・・・。」
「なんだよ。」
「胎動がすごいかも・・・。」
「あー、そりゃ、両親が仲良く愛しあうんだから、嬉しいんだろ。」
玲斗ってば、この前助産師さんの言ってたことそのまま言ってますよ!
も〜。
そろそろお腹も苦しくてこっちは大変なんですけど、玲斗はあまり見た目とか気にしないのか、嫌がるそぶりはありません。
どう考えても玲斗はスタイルのいい女性が好きなはずなんですけど、お腹のことも気遣って優しくしてくれるし・・・。
それが嬉しかったりもするんですけど、ちょっと不思議だったりもするのです。
「千穂、横向きに寝転べ。」
「え、なんで?」
「この時期だと後側位が負担にならないみたいだからな。」
「・・・。」
玲斗・・・調べたのでしょうか。
妊娠中のセックスについてなにげに詳しいんですよ。ビックリです。
「ど、どうすればいいの?」
「だから、横になれって言ってるだろーが。」
うわ。まったくなんでこんなに偉そうなんでしょうか!
わたしはおとなしく横になりました。
玲斗には逆らえませんからね。
「玲斗・・・。」
「なんだよ。」
「ううん。なんでもない・・・。」
激しくしないでね。そう言おうとしてやめました。
だって言わなくても、玲斗はいつも優しくしてくれるのですから。
わたしは後ろから抱きかかえられるように玲斗の温もりを背中に感じました。
まるでわたしとこれから生まれてくる赤ちゃんを優しく包み込んでくれているようでとても幸せな気持ちになりました。
そうしてわたしたちのハロウィンの夜は更けていったのです。
おわり
ハロウィンの甘い夜でした★
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