実はわたし、結婚してます〜Trick or Treat!〜







「わー、玲斗すごい!プロみたい。」

意外にも玲斗は手際よくかぼちゃの中身を取り出して、綺麗に顔を彫っています。
なにげに器用だったみたいですよ!

「しかも可愛い〜!ねえねえ、わたしがコウモリとか作ってもいい?」
「は?何で作るんだよ。」
「粘土とか・・・ダメかな。黒く塗ったらそれっぽく見えないかな。あ、ダンボールとかでもいいよね。」

わたしの高いテンションに玲斗は少し呆れたようにちらちら見ています。
「好きにすれば?」

そのお言葉にわたしは立ち上がりました。ウキウキ状態です。
なんだか楽しくてたまりません。
実をいうといろんなものを製作するのって好きなんです。学生時代の学園祭でも、いつも居残りして看板作りしたり、衣装作りしたりしてましたからね。
そんなことを思い出しながら、わたしはわたしで玲斗の横で勝手に作ることにしました。

ゴミの日に出す予定だったダンボールにコウモリを鉛筆で下書きして、それをハサミで切っていきます。

た、楽しい〜!!

「見て見て!玲斗、これコウモリっぽくない?ついでに魔女のシルエットも作っていい?」
「・・・お、おう・・・。」

完全に玲斗は呆れていますよ!
でもいいんです!楽しいから!!
わたしは調子にのっていろいろ作ってしまいました。

おかげで玲斗の完成させたランタンの横に、手作りコウモリや、魔女、お化けを置くことができて、なんだかハロウィンぽい雰囲気が出てきました。
なんちゃってハロウィン?とでもいうのでしょうか!

「千穂って器用だよな。」
「え、玲斗こそ・・・こんなの簡単に作っちゃえるんだから、すごいよ。」
「別に普通だろ。」

玲斗はめずらしく照れているように思えて、なんだか可愛く思えてしまいました。

「来年はひとり増えるし、もう少し本格的にやるか。」

出来上がった作品をふたりで眺めていると、玲斗がポツリと言いました。
来年・・・。
そっか、来年の今頃は・・・目の前にいるんだ・・・。
わたしはまだエコー写真でしか見たことのないわが子が、この場所でハイハイしているかもしれない様子を思わず想像してしまいました。
大きくなったお腹にゆっくり触れると、ぐにゃっと動くのがわかりました。

パパの声が聞こえて嬉しかったのでしょうか。

「うん。来年は窓とかも飾りたいね。」

思わず震えた声で、そう応えました。

「ま、ふたりきりで過ごすのもあと少しだからな、千穂。」
「え?」

玲斗はニヤリ、と笑いました。
う・・・。
しんみりしてしまったのもつかの間。なんだかこれは・・・怪しい展開かもしれません!



 














    



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