実はわたし、結婚してます〜Trick or Treat!〜
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「わー、なんだか街もハロウィン一色だね。」
「あー。日本人はイベント好きだからな。」
「うん。でも楽しいことってたくさんあったほうがいいから、それもまた日本のいいところなのかも。」
「千穂って幸せな女だよな。」
「えー?」
わたしたち、最近はよくふたりで街をぷらぷら歩くことが増えました。
本当はわたしひとりでも平気なんだけど、玲斗がわたしの大きくなってきたお腹を見ながら、ひとりじゃ危険すぎる!って言って付き合ってくれるようになったのです。
玲斗にとってはつまらないと思うんですけどね。嫌な顔をしているわけでもなく、やたらと密着してきて、こっちが恥ずかしくなるくらいですよ。
何をする、というわけでもなく、可愛いお店があったら寄り道して、妊婦さんの軽い運動にウィンドウショッピングって最適です。
疲れたらカフェに入れば、いいですしね。
わたしたちは目に入ったカフェに入って、玲斗はコーヒー、わたしはノンカフェインのハーブティーを注文しました。
「あ、ねえ玲斗!ハロウィンのお祭りだって。仮装してきたらドリンク一杯無料って書いてあるよ。」
「・・・ドリンク一杯のために仮装すんのかよ。」
「えー、そういうわけじゃないけど・・・仮装ってなんだか楽しいよね。ハロウィンだと魔女とか?かなぁ。」
「魔女?千穂が?」
「え?変?」
「似合わねぇだろ。あぁ、落ちこぼれ魔女とかならいいのか。」
「な、なにそれー!!」
「ハハハ。」
そう、なにげに玲斗との外出は楽しくてたまらないのです。
わたしが何を話してもちゃんと返事してくれるし、聞いてないようで聞いてますからね〜。
「玲斗だったらドラキュラが似合いそう。」
「ああ、いいかもな。」
「でしょ。」
「千穂の血を吸いつくしてやりたい。」
「玲斗!」
あー、でも玲斗がドラキュラだったら血を吸われてもいいかも・・・。って思う女性はいっぱいいますよね・・・きっと。わたしだって思いますから。
やっぱりいい男って何をやってもいい男なのかもしれません。
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ハロウィンのお話。