実はわたし、結婚してます
育児奮闘記
1
「きゃーきゃーきゃー!!玲斗〜〜〜!!」
「千穂?!どうしたんだよっ!!」
「ゆうくんが〜、おしっこ飛ばしたの・・・」
「・・・」
おむつ交換をしていて、セーターにおしっこをかけられて半泣き状態のわたしを見た玲斗は、はぁっとため息をつきました。
ひどいですよっ!こっちは真剣にやってるんですよ!
「きゃぁぁぁ、今度はウンチしたぁ!!」
「うわあ、千穂!オマエ落ち着け!」
「だってだってだってどうしたらいいの!?」
「もう風呂だ!風呂に入るぞ!」
「ええ!?このまま!?ど、ど、どうするの!?」
「俺も入る」
玲斗はそういうといきなり服を脱ぎ始めました。といってもまだお湯たまってませんよ。もちろんシャワーとか浴びてたらすぐにたまると思いますが。
「いいか!俺が悠斗をうけとってシャワー浴びせるから、その間に千穂も服脱いで入って来い。いいな」
「は、ハイ!」
わかりました隊長!って感じですね。
暦の上では春に近づく今日この頃、先月無事1ヶ月健診も終わり、ふたりで育児奮闘中なんですが、とにかく玲斗がとっても頼もしいんですよ!
最初のあたふたしてた玲斗とは大違いで、慣れるとわたしよりも上手にオムツ換えもしてますし、とにかく手際がいいというか・・・玲斗ってホントなにやっても完璧なんですね〜。
しかも、絶対に育児なんてほったらしだと思ってたんですが、平日は定時で帰ってきてくれますし、休日はずっと一緒に過ごしてくれるのです!
あ、やっぱり玲斗の「パパでちゅよ〜!」は聞くことはできていませんが!
とにかく初めての育児ははちゃめちゃで、国府田さんやユリアさんがたまに顔を出してくれるんですが、本当に大変です!
世の中のお父さんお母さんたちを尊敬します!
「はー、やっと少し落ち着いたな」
「うん・・・。ありがと、玲斗」
無事一家で入浴を済ませ、ベビーベッドですやすやと眠りについた悠斗をふたりで確認し、わたしたちはソファに倒れこむようにどすんっと座りました。
「おしっこひっかけられたくらいで騒ぎすぎなんだよ」
「だって〜。」
しょうがないじゃないですか。
男の子ってまだよくわからないんですから〜。いや女の子でもわからないことはあると思いますけど、やっぱり同性と異性は違います。
きっとこれからこういうことたくさん出てくるんでしょうね。
「千穂、今のうちに寝とけよ」
「え」
「また明日から昼間はひとりなんだから。寝れるときに寝ておかないともたないぞ」
「大丈夫だよ?」
玲斗のその言葉は嬉しいけれど、でもせっかくの休日だし、玲斗と一緒に過ごせるから・・・睡眠時間削ってでも傍にいたい、って思ってしまうわたしは愚かなのかもしれません。
悠斗との生活は楽しいけれど・・・それでも夕方になると無性に淋しくなってしまって、毎晩毎晩、玲斗の帰ってきそうな時間になると、待ち遠しくて待ち遠しくてたまらなくなってしまうのです。
「あの、じゃ、玲斗・・・か、肩かして」
わたしは勇気を出して言ってみました。
玲斗は一瞬驚いたような顔でわたしを見つめ返しました。
きゃー!やっぱりこんなこと言うなんてダメですよね。わたしってば一体何を言ってるんでしょうか。
産後だからってちょっと情緒不安定?なんでしょうか。
「いいよ。ここで仮眠すれば」
「ホント?」
「ああ」
わたしは玲斗の肩にもたれかかりました。
しっかりとした力強い肩に、なんだかホッとしてわたしはすぐにうとうとし始めました。やっぱり思っている以上に体力を使っているのかもしれません。
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