実はわたし、結婚してます 〜おみやげ〜
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ふっふっふ。
今日のわたしはとっても機嫌がいいのです。
それは、旦那サマである玲斗の出張〜!!だからです。
というわけで、わたしは久しぶりに友人たちと遊びにいけるというわけです。
あ、もちろん旦那サマの了承済みですよ?
数日前・・・
「え、出張?」
「ああ。週末から3泊。準備しといて」
「わかった。どこへ行くの?」
「ニューヨーク」
「えー、いいな」
「よくない!」
ぎょえ!怖いです。
なんなのでしょう。ニューヨークなんて庶民のわたしにはそうそう行けるわけないのですから、ちょっと羨ましいな〜と思っただけじゃないですか!
それなのにそんなに睨まなくても〜。
「千穂も連れて行きたいけど・・仕事だからな」
「そりゃそうだよ〜」
お、旦那サマ・・・ちょっと淋しそう?
だったら嬉しいんですが。
そんなことはあるはずないですね。
「じゃ、先に出るから」
「あ、玲斗。あの週末・・・友達に会ってきてもいい?」
「・・・」
「えっと・・・ひとりだとつまらないし・・・」
「愛子?恵美?それとも他のヤツ?」
「愛子と恵美のりょ、両方・・・」
玲斗はわたしの友人関係はすべて把握しているのです。
「なら別にいいんじゃない?」
「あ、ありがとう〜」
「じゃ、行くから」
「うん。行ってらっしゃーい」
てな感じです。
「千穂ってばホント付き合い悪くなったわよね〜!」
「そうそう。誘っても誘っても断りやがって、この〜!」
「ごめーん。仕事が忙しいから休日はいつも眠くて眠くて・・・」
「そうよね。千穂のくせに良いトコ就職しちゃってさー」
まぁ、今の会社に入社できたのは運が良かっただけなんですけどねー。
たまたま内定の確定していた人が、学生結婚してご主人の会社の海外赴任についていくことになったらしいのです。
で、内定を蹴っちゃったらしく・・・なぜだか巡りに巡ってわたしにありがたいお話をいただくことになったのです。
そのおかげで、とんでもないことになってしまいましたが。
愛子はOL、恵美は調理師として働いています。二人とも高校時代からのなんでも話せる友人なのです。
そんな仲なのに、わたしはこうして秘密をもっているのは心苦しくて悲しいのですが、仕方ありません。
いつか話せる時がきたら、すべて話してスッキリしたいと思います!
そのときはもうバツイチかもしれませんが。
「で、千穂はいい人見つけたの?」
「え・・・えーっと・・・」
「お、さては見つけたな〜?」
「すっ・・好きな人はいるかなっ」
とりあえずここまでくらいならかまわないでしょう。
「「えー!どんな人よ。かっこいい?役職は?年収は?」」
ふたりから詰め寄られ、どきどきしてしまいます。
久しぶりの居酒屋でお酒をかこむとどうしてもみんなテンションが高くなってしまうんですよね。ガールズトークってそれが楽しかったりもするのですが。
この話題から話をそらさなければ、わたし、とんでもないこと口にしてしまいそうでちょっと怖いです。
「えーっとまぁまぁ?年収はよくわからないけど」
玲斗の年収は本当によくわかりません。
家計は玲斗が握っていて、いつも生活費をわたしの口座に振り込んでくれます。多すぎるって言ってるんですが、金額はけっこうな額です。
わたしもフルタイムで仕事してそれなりにお給料はもらっているので、別にそんなにたくさんいらないのですが、玲斗の強引さに負けてとりあえず黙ってもらっておきます。
いつか機会があれば余ったお金はお返ししようと思ってたりします。
もちろん、今までお世話になったお礼もこめて。
「もー千穂ってば相変わらずね」
「そ、それより愛子は新しい彼氏はできたの?」
前に愛子と会ったとき、愛子は大学時代から付き合っていた彼氏と別れたばかりでした。かわいくて明るい彼女なのですぐに彼氏ができるのかと思いきや、なかなかできないと言っていました。
「んー、まぁ今は物色中」
「な、なにを?」
「結婚相手」
「えー」
「そろそろね。真剣交際して、結婚を意識する相手と付き合いたいじゃない?好きなだけじゃ一生一緒には生活できないもの」
ごもっともです。
愛子はちょっと派手で遊んでそうにも見えますが、意外と現実的でしっかりものです。
だからこそ長く友人でいられるのですが。
結婚はしてみてわかりましたが、それまで全く生活習慣の違ったふたりが一緒に暮らすわけで、当然わたしが当たり前だと思っていたことが、玲斗にとってはおかしなことだったり当たり前でなかったりするわけなのです。
もう最初の頃はどれほど戸惑ったことか。
「やだー、愛子が結婚意識してるとか言ってるし」
「そういう恵美はどうなのよ。竜くんと上手くいってるの?」
「う〜ん。微妙?」
「え?!」
わたしは恵美の反応に思わず驚きの声をあげてしまいました。
恵美は高校のときから付き合っていた竜くんといつもラブラブでした。きっとそのうち結婚するのだろう、なんて思っていたので、ビックリです。
「あ、千穂には言ってなかったんだっけ?」
「な、なにを?」
「あたしたち同棲解消したんだよ」
「ええー!!」
大学時代は一緒に住んでいた恵美と竜くん。
本当に部屋に招待される度に、新婚家庭にお邪魔しているようでわたしまでドキドキしちゃいましたが。
「もう終わりにしたほうがいいのかもね〜。やっぱりさ、お互い社会に出ると考え方も生活も変わってくるでしょ?なかなか難しいよ」
「そ、そっか〜」
「だから、恵美は他の男とも付き合ってみなっていつも言ってるじゃないの」
「そうよね。ひとりの人と一生愛し合いたいなんて夢見るお年頃じゃなくなったしね」
愛子と恵美が妙に息がぴったり。
ふたりは何度かわたし抜きで一緒に飲みに行ってたみたいだし。
それにしても、付き合ったり別れたり・・・一時はあんなにラブラブでも先のことってどうなるかわからないものですね。
ええ、わたしも実際どうなるかわかりませんが!
「千穂もさ、かわいいことばっか言ってないで、いろんな男の人と付き合ってみなよ?」
「う、うん・・・そうする」
実はわたし、結婚しちゃった・・・。
なんて・・・
言ったら、ふたりはどうするかな。
ちょっと怖いですね・・・。
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