社長と副社長のマル秘会議 2




「じゃあ、そういうことで。」
「うん、その件は任せるよ。」

社長室で密かに行われている会議。二人は顔を合わせてにやりと笑った。



「そういえば、最近鬼のように仕事してるみたいだけど何かあった?」
仕事の話が終わり、のんびりとコーヒーを口に運んだ副社長に対し、社長はなんとなく尋ねてみた。
副社長の最近の仕事があまりにも速すぎるからだ。
もともと上手く仕事をこなす彼だが、最近はなんというか・・・かなり真剣だ。

「ああ、別に?」

「やけに早く出勤してるよね?昔から朝が苦手で、起こすのも一苦労だった気がするけど。」
「ハハハ。」
昔、大学生の頃、この二人はルームシェアをしていたことがある。
朝、なかなか起きない彼を社長は思い出していた。

「女でもできたの?」

はぐらかそうとする副社長に社長は単刀直入に聞いてみると、ふっ、と含みのある笑みを浮かべられ、ああ、やっぱり、と思わざるを得ない。

「仕事はやってるからいいだろう?ああ、もしかするとちょっと頼み事するかもしれないな。」
「めずらしいね。速人が僕に頼み事なんて。」
「まあ、いろいろとね。」
「ふーん。」

なんだか面白くない、と社長は思う。
イケメントップ2とか呼ばれ、社内では人気を二分している二人だが、今のところ二人とも特別な相手はいない。

20代前半の頃はお互い日々違う女を連れ歩いていたこともあったが、今は仕事でいっぱいいっぱいでそんな華やかな生活からもしばし離れている。
年齢からしてそろそろ落ち着きたい、と思うこともある。でも焦ることもしていなかった。
しかも自分に合う”特別な相手”がそう簡単に見つかるはずもない。

「まさか会社の女の子じゃないよね?」
「さあ。どうだかね。」
「社内の女の子だけはだめだって速人が言ってたんでしょ?」
「ああ、そんなことを言ったような気がするな。」
「だれ?」
「・・・。」

副社長はそれ以上聞かれては困る、と立ち上がった。
なんだか今日の社長はやけにしつこい。

「まあ、そのうち気づくだろ?」

ニヤリ、と笑って副社長は社長室を出て行った。





   



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