実はわたし、結婚してます



【雪】


それはある休日前夜のことでした。

「玲斗〜、雪が降ってる!」
「ああ、今夜は寒いしな。」
「東京で雪が見られるとなんだか嬉しいよね。」
「そうか?」

そうですよ!
興奮するわたしをよそに、どうでもいい、といった顔をしている玲斗。
確かに寒いのは苦手なんですけどね〜。
でも雪は違います。雪は。

「子どもの頃、雪が積もったらカマクラ作ったり雪合戦したりして遊んだなぁ〜。」
「は?オマエの実家雪なんか降るのか?西のくせに。」

むむむ。西のくせにって嫌な言い方ですね〜!

「そりゃ、東北とか北陸にはまけるだろうけど、よく積もってたよ。田舎で、山際だったし。」
「ふーん。カマクラって美味いの!?」
「えええ!?食べ物じゃないよ!玲斗、カマクラ知らないの!?」
「知るか。」
「雪で山を作って中を掘るの。ほら、海とかで砂山作るでしょ!あれの大きいバージョンで、中に人が入るんだよ。」
「何が楽しいんだよ。」
「中で七輪とかでおもち焼いたりしてけっこう楽しいんだよ。中はあったかいし。雪のおうちみたいなの。」
「・・・。」

お、なんだか玲斗が興味ありげな顔をしてきましたよ!
ふっふっふ。
なんだかわたし、優位に立った気分です!気分だけですけどね〜!

「じゃ、明日行くか。」
「え?」
「行くぞ。カマクラ。」
「カマクラって・・・鎌倉!?なんで!?」
「なんで鎌倉に行くんだよ・・・・・・雪つったらスキー場に行くんだよ!」
「スキー場!?」

さらに意味がさっぱりわかりません!

「まさか、スキー場でカマクラつくるの!?邪魔になっちゃうよ!怒られるかもしれないし!」
「俺んちの所有してるスキー場だ。問題ないだろ。」
「ええええーーー!!」

こうして、わたしと玲斗はなぜかスキー場でカマクラをつくることになったのでした。
ついでに雪だるまも作ったことは言うまでもありません・・・。


おしまい。












   



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